Q&A

肌・しわについて

人によって肌の色がちがうのはなぜでしょう?

人類の色素細胞の数は表皮細胞の一番下で表皮細胞を作っている基底細胞約10〜30個に対し1個と言われています。従って色素細胞の数は基本的にどんな人でも数は変わりません。しかし、色素細胞のなかでつくられているメラニン顆粒の大きさや、メラニン産生能はことなり、それが肌の色の違いとなって現れるといわれています。

皮膚の表面のバリアを構成するものは?

皮膚の表面には、バリアがあります。このバリアを構成しているのは角質細胞や皮脂腺から分泌される皮脂や、角質細胞から生成される角質細胞間皮脂とく にセラミド、天然保湿因子(NMF)などです。バリアが破壊されると、いわゆる乾燥肌になりやすくなります。

「しわ」のもととなる主な光線はどれ?

紫外線のうちUVBは表皮にまでしか届きませんが、UVAは真皮にまで光線が届きます。紫外線にあたっている時間がながいほど真皮のなかのスプリングのような役目を果たしている膠原線維や弾性線維などがダメージをうけ変性してしまい現れるのが「しわ」だといわれています。  

肌のお手入れについて

手荒れのときの注意点は?

上記の設問の解答でおわかりのように、手荒れはバリアが破壊され、水分の保持や外界からの刺激物からの防御ができなくなった状態です。皮膚を清潔に保つことは大切ですが、決して細菌感染がおこっているわけではありません。殺菌成分の入った洗剤で頻繁に洗うことや、アルコールなどで消毒することは、更にバリアを破壊することになります。炎症がおこって赤くなり、また割れたり、かゆみや痛みを感じる状態になる前に、十分な保湿をこころがけましょう。炎症がおこった状態では、炎症を改善することが必要ですから、単なる手荒れと思わずに皮膚科専門医で治療を受けましょう。

レモンパック・きゅうりパックなどの民間の美容法はどうですか?

自然のものがすべてよいわけではなく、皮膚につけてかぶれるものや、光感作物質(光線に当たると皮膚に障害をおこすもの)などが入っているものなどもありますので、注意が必要です。

洗顔した後、肌の手入れは必要ですか?

メイクや皮膚の表面に付着した汚れ、皮膚の老廃物となった古い角質や皮脂などは皮膚を刺激するもとなので皮膚から取り除く必要があります。これらだけを選択的に取り除き、必要なものを残せればよいわけですが、変性した皮脂や老廃物はきれいな皮脂と混ざりあっているので、それだけを取り除くことは難しいです。したがって、洗顔後は、皮膚のバリアもこわれやすくなっていますので、補給する必要があります。逆にいうと水分やビタミンの補給しやすい状態になってるといえます。

弱酸性や無添加の洗顔フォームはよいのか?そうでないものはよくないのか?

皮膚の表面は弱酸性になってます。そのため、同じ弱酸性の洗顔料は pH の面からみると低刺激といえます。また、無添加であればよいのではなく、無添加の場合には防腐剤がはいっていないために変性しやすかったりという部分もあります。ただ、化粧品でのトラブルで比較的多いのが、防腐剤や香料、紫外線吸収剤などですので、化粧品でかぶれやすい人は注意が必要と思います。しかし、かぶれていると思ってる方のなかには、湿疹がすでにできているために刺激を受けやすくなってることもあります。その場合はきちんと湿疹の治療をすることで、改善することが多いです。

にきびについて

ニキビによくないことはどんなこと?

ニキビ脂腺性毛包におこる炎症です。脂腺の活動が活発な人におこりやすい病気です。不摂生は、身体にストレスをかけますのでニキビのみならず、皮膚 そのものに良い影響を与えるとは思えません。また、もともと、脂腺が活発でオイリーな肌に栄養クリームなどの油分を与えると、油分が酸化し、毛包の入り口の 皮膚を刺激して角化させ、毛包を塞いでニキビができやすくなると言われています。だからといって頻回に洗顔をすると、必要以上に刺激して炎症を悪化させたり バリアを破壊したりします。ニキビもりっぱな病気です。きちんと治療を受けましょう。

ニキビの効果的な治し方ってなんですか?

一夜にして治す方法はありません。ニキビも程度がありますので、それによっても治療方法は違います。ニキビは一種の皮膚の病気です。化粧品のみや自己流にかたよらず、皮膚科で治療しましょう。

ニキビをつぶすと痕になるって本当ですか?

ニキビをいじると炎症がさらに悪化することがあります。炎症がひどければ、なおったあとがへこんでしまったり、茶色の色がついたりします。また、さわることで、そのニキビの周囲の毛穴をつまらせたり刺激したりしてニキビがふえることがあります。

甘い物の食べ過ぎでニキビは増えるんですか?

甘い物に限らず、カロリーオーバーになるとニキビは悪化します。

当クリニックでのニキビの治療方法

ニキビは脂腺性毛包とよばれる皮膚表面のあぶら(皮脂)をつくる脂腺がある毛穴(毛包)におこります。
皮脂が酸化すると毛穴の入り口の部分の角質が増え(過角化)、毛穴を塞いでしまったり、ニキビの炎症のもとになるニキビ桿菌(かんきん)が増えてしまい、赤くうみをもったニキビになります。
ニキビの治療には、いくつか方法があります。
当クリニックで行うことのできるニキビの治療法には次のようなものがあります。


1.ビタミンB2、B6、の内服+抗生物質の外用(抗生物質の内服)
ビタミンB2、B6は脂腺の代謝を良くし、抗生物質はニキビ桿菌(かんきん)を抑えることができます。
(保険診療で行えます。)
2.ケミカルピーリング
ケミカルピーリングは、フルーツ酸や乳酸を用いて皮膚表面の余分な皮脂や古くなった角質を除去する方法です。毛包の入り口の角質もとれるので毛包に貯まった皮脂や角質の排出をうながし、ニキビがおこりにくくなります。しかし、たった1回の治療での改善は難しいので7〜10日毎に4〜5回は必要です。そのあとは、期間をあけてケアを続けるのがよいでしょう。  また、ケミカルピーリングのあとは、化粧品や治療薬を吸収しやすくなりますので、ビタミンCのローションや、抗酸化作用のあるビタミン類のはいったものを使用するとより効果的です。(ケミカルピーリングやビタミンCローションはニキビだけでなく、メラニン色素を抑えたり、真皮の活性化もおこるので“うすいシミ”や“しわ”などにも効果があります。)
(自由診療になります。)
3.ビタミンCローション+ダラシンローション
ビタミンCは、ニキビの悪化に関係する活性酸素、過酸化脂質などを阻害する作用(抗酸化作用)があります。毛包の過角化を防ぎ、ニキビをできにくくするだけでなく、真皮に作用してコラーゲンの合成を促進しニキビ痕にも有効です。さらにダラシンローションの使用でニキビ桿菌(かんきん)を抑えることができます。
(自由診療になります。)
4.レチノイン酸
レチノイン酸は、ビタミンA(レチノール)の誘導体で、欧米では、ニキビの治療薬として一般的です。皮脂の分泌量を抑え、ニキビの改善に役立ちます。また、表皮細胞を正常に整え、真皮では、コラーゲンやエラスチンの産生が促されるため、シミやしわにも効果的です。使用時にカサカサしたり、赤くなったりすることがあります(レチノール反応といわれるもので、よくみられるものです。)ので、定期的に診察が必要です。
(自由診療になります。)


当クリニックでは、これらを単独または組み合わせて治療をおこないます。

シミ・そばかす・日焼けについて

「シミ」のもとになる主な光線はどれ?

地表に到達する太陽光線は紫外線、可視光線、赤外線にわけられる。その中でも紫外線は290〜320nmのUVBと320〜380nmのUVAにわけられます。UVCはオゾン層で吸収されて地表には、届きません。日焼けをおこす紫外線は主にUVBといわれています。なんども日焼けをくり返すうちに表皮細胞のDNAに傷がつきおこってくるのが「シミ」だといわれています。

シミ・ソバカスはレーザーで治りますか?

シミにもいろいろな種類があり、レーザーで効くものと効かないものがあります。たとえば、加齢とともに頬などに丸くくっきりできた茶色のシミで老人性色素斑と診断されるシミはレーザーが効果的です。ソバカスは効果のある時とない時があります。レーザーを照射したあとに一時的に色素沈着がおこることがありますので、よくドクターから説明をうけてください。

色白だと日焼けのときに赤くなるのはなぜですか?

日焼けは紫外線による炎症で、Sun burn といわれる日光によるヤケドです。肌の白いひとはもともとメラニンが少ないため、紫外線からの防御が手薄になっています。色の黒いひとでも赤くなりますが、色の白いひとの方が短時間で赤くなります。そして、色の白いひとは色素沈着をおこしにくく、Sun tan はおこりにくいのです。よく色の白いひとが、すぐに赤くはなるけど焼けないというのは、そのためです。

日焼け止めって効くんですか?

日焼け止めには、紫外線を吸収したり、反射したりする成分がはいっています。一度、塗って一日中効果が持続するわけではないので、2〜3時間毎にぬりなおす必要があります。

日焼け止めに書いてある SPF や PA の意味をおしえてください。

皮膚に紅斑をおこす最小のUVBのエネルギー量を最小紅班量(MED)といいます。SPF とは、日焼け止めを塗った皮膚が、日焼け止めを塗らない皮膚の何倍のUVBのエネルギー量で赤くなるのかということをあらわす数字です。ひらたくいうと、同じ日射しの下で、日焼け止めを塗った皮膚は、塗らない皮膚と同じに焼けるまで何倍かかるかということです。 SPF は、UVB の防御効果ですが、 PA は UVA の防御効果です。UVA を照射すると即時型の色素沈着(すぐに消えるので3〜4日後より黒くなる日焼けとは違うものです。)がおこります。その最小の紫外線量を MPPD(最小持続型即時黒化量)といいます。それをもとに SPF と同じように計算したものが PFA とよばれるものです。PFA の値に応じて PA は決められています。
PA+PFA2-4
PA++PFA4-8
PA+++PFA8up

みずむしについて

みずむし(白癬)の原因はなに?

みずむしとは、医学用語で足白癬と呼ばれているものです。原因となっているのは、白癬菌といわれる真菌(カビ)の一種です。いわゆる感染症ですので、密な接触をすれば、うつります。洗濯物などを一緒に洗ったからといって簡単には、うつりません。そして、きちんと治療すれば、治る病気です。しかし、自己判断は危険です。同じように足に水疱をつくる病気はほかにもあるので、きちんと皮膚科専門医にみてもらいましょう。自己判断でみずむしと思ってくすりをぬっていたら湿疹だったということもあります。治らないばかりか外用剤でかぶれてしまうひとも多く見受けられます。

みずむしのときに気をつけることは?

みずむしに感染している皮膚は、細菌感染もおこりやすくなっています。みずむしのところから細菌(いわゆるバイ菌)が入り込み、足全体が腫れてしまうこともあります。ゴシゴシ、力を入れて洗う必要はありませんが、清潔にしておくことは必要です。また、直接患部がふれるスリッパや濡れたあしをこすって拭き取るバスマットなどは、家族と別にするのは大事ですが、洗濯物を一緒に洗ったからといってうつるものではありません。

その他の素朴な疑問について

爪は何でできているの?

皮膚の一部である角層が分化したものです。

身にある毛で一番生えかわりの期間が長いのはどれ?

毛には、3つの周期があります。生長期、退行期、休止期です。この生長期がながいのが、頭毛すなわち髪の毛です。

『ほくろ』ってなんでできるんですか?

いわゆる「ほくろ」は医学用語で母斑(ぼはん)とよばれるものです。母斑には、いろいろな種類がありますが、一般に「ほくろ」とよばれているものは、母斑細胞という「ほくろ」をつくる細胞からできているもの(母斑細胞母斑)と、表皮の最下層(基底細胞)のところに色素が増加しておこるもの(扁平母斑、単純黒子)をさしてると思います。なぜできるのかははっきりわかっていません。

傷の跡って治るんですか?

傷跡といってもいろいろあります。傷の深さや体質によって、単純に色素沈着をのこすだけのものから、陥凹したり、盛り上がってしまうものまであります。一概にはいえませんが、傷が治ったあとの色素沈着は炎症後の色素沈着と同じですから時間はかかりますが、自然に消退していきます。ビタミンCを摂取するのも良い方法です。陥凹や盛り上がったものは、皮膚科や形成外科で相談する必要があります。  

用語集

紫外線:ultraviolet light(UV)

紫外線は100-380nmの波長域の光で、波長によって10-190nmを真空紫外線、190-290nmを短波長紫外線(UVC)、290-320nmを中波長紫外線(UVB)、320-380nmを長波長紫外線(UVA)といわれます。このうち、真空紫外線、短波長紫外線(UVC)は、オゾン層に吸収されるため、地表には、UVAとUVBが到達します。

膠原線維:コラーゲン線維

真皮を構成する重要な線維です。強靱で白い線維性蛋白(コラーゲン)よりなります。弾力線維(エラスチン:線維性蛋白)と協力して皮膚の弾力に関与します。

色素細胞:メラノサイト

メラニンという色素を産生する細胞です。

脂腺性毛包

ひふの表面には、皮脂とよばれるあぶらがあります。その皮脂を産生するのが、脂腺がついた毛穴です。 ニキビがおこるのは、この脂腺性毛包です。  

ニキビ:尋常性ざ瘡

吹き出物とニキビはおなじものです。医学的には、どちらも尋常性ざ瘡です。

基底細胞

ひとの皮膚は表皮、真皮、皮下組織にわけられています。表皮を構成する主な細胞は角化細胞です。角化細胞は、一番最下層 (基底層といいます)の基底細胞が分裂増殖し、次第に押し上げられて有棘細胞、顆粒細胞、角質細胞となり、表層から脱落していきます。

セラミド

表皮の最外層は、角層です。角層を構成するのが角質細胞です。角層は角質細胞がレンガのように積み重なったような構造を作っています。
このレンガとレンガのあいだを埋めて接着させているのが、角質細胞間脂質とよばれるものです。角質細胞間脂質は、皮脂とは別の脂質で字のとおり角質細胞で産生される物質です。コレステロール10%、コレステロールエステル20%、脂肪酸20%、スフィンゴ脂質50%などで構成されています。この50%を占めるスフィンゴ脂質のほとんどがセラミドとよばれる脂質で占められています。
セラミドは、皮膚の水分保持機能、バリア機能(皮膚から水分が逃げないようにしたり、外からのいろいろな刺激物や異物が皮膚に入り込まないようにしたりする)を司っているといわれています。そしてこのセラミドは、アトピー性皮膚炎の患者さんの皮膚では少ないことがしられています。

フルーツ酸

文字通りフルーツのなかに存在する有機酸。皮膚の表面にぬると細胞と細胞の接着をゆるめることで角層を剥離することができます。これを利用したのが、ケミカルピーリングです。フルーツ酸には、酢酸、リンゴ酸、グリコール酸、乳酸などの種類があります。通常ケミ カルピーリングに使用されているのは、人工的に合成されたグリコール酸です。

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Yoshihara Dermatology Clinic